2018年 04月 01日
佐保会兵庫読書会 |
春爛漫の好季節となりました。
第23回読書会を寒さまだ厳しかった2月22日に開きました。8名の皆さまに
お集まり頂き、今回は2017年ノーベル文学賞受賞のカズオ・イシグロさんの
作品を合評した。
一応全員が「日の名残り」を読了していたが、ほかにも「わたしを離さないで」や「遠い山なみの光」等イシグロ・ワールドを体験した方もいた。
「日の名残り(THE REMAINS OF THE DAY)」の時代は1950年代、舞台は英国の貴族に執事として親子2代務め現在は屋敷を買い取った米国人の好意で短い旅に出たステイーブンスが主人公。彼は品格ある執事の道を追求し続けてきた。 美しい田園風景の道すがら様々な思い出がよぎる。
長年使えた主人への敬慕、執事の鑑だった亡父、女中頭への淡い想い、2つの大戦
の間に邸内で催された重要な外交会議の数々ー思い出は輝きをまして胸の中で生き続ける。
作者は5歳の時、家族と共に渡英。以降、日本とイギリスの二つの文化を背景に育ち、長編第3作目のこの作品でブッカー賞を受賞した。多感な時代を異国で過ごした
作者の心の成長が読み取れる。参加者からは「忍ぶ恋を理想とする葉隠れに武士の心が投影している」「異邦人の眼で英国を客観的に見ている」「格調高い作品」「日本にはない執事の制度に関心がある」等々感想が述べられた。大勢で一つの作品を読みあうことの楽しさと大切さをまたまた教えられた作品だった。
主人公は最終章で「夕方がいちばんいい時間」と聞き感慨にふける。作者が英国
(かっての大英帝国)に穏やかな眼を向けていることを痛感した。(松本記)
次回の読書会:
時:5月31日(木)13時~16時
会場:クリスタルタワー5階。ブース⑤にて。
合評する本:”それでも、日本人は「戦争」を選んだ” 加藤陽子著
新潮文庫(750円+税)
多くの会員の皆様のご参加をお待ちしています。
第23回読書会を寒さまだ厳しかった2月22日に開きました。8名の皆さまに
お集まり頂き、今回は2017年ノーベル文学賞受賞のカズオ・イシグロさんの
作品を合評した。
一応全員が「日の名残り」を読了していたが、ほかにも「わたしを離さないで」や「遠い山なみの光」等イシグロ・ワールドを体験した方もいた。
「日の名残り(THE REMAINS OF THE DAY)」の時代は1950年代、舞台は英国の貴族に執事として親子2代務め現在は屋敷を買い取った米国人の好意で短い旅に出たステイーブンスが主人公。彼は品格ある執事の道を追求し続けてきた。 美しい田園風景の道すがら様々な思い出がよぎる。
長年使えた主人への敬慕、執事の鑑だった亡父、女中頭への淡い想い、2つの大戦
の間に邸内で催された重要な外交会議の数々ー思い出は輝きをまして胸の中で生き続ける。
作者は5歳の時、家族と共に渡英。以降、日本とイギリスの二つの文化を背景に育ち、長編第3作目のこの作品でブッカー賞を受賞した。多感な時代を異国で過ごした
作者の心の成長が読み取れる。参加者からは「忍ぶ恋を理想とする葉隠れに武士の心が投影している」「異邦人の眼で英国を客観的に見ている」「格調高い作品」「日本にはない執事の制度に関心がある」等々感想が述べられた。大勢で一つの作品を読みあうことの楽しさと大切さをまたまた教えられた作品だった。
主人公は最終章で「夕方がいちばんいい時間」と聞き感慨にふける。作者が英国
(かっての大英帝国)に穏やかな眼を向けていることを痛感した。(松本記)
次回の読書会:
時:5月31日(木)13時~16時
会場:クリスタルタワー5階。ブース⑤にて。
合評する本:”それでも、日本人は「戦争」を選んだ” 加藤陽子著
新潮文庫(750円+税)
多くの会員の皆様のご参加をお待ちしています。
by ku-nagata
| 2018-04-01 13:20