2018年 07月 03日
佐保会兵庫読書会 |
第24会佐保会読書会を5月31日(木)クリスタルタワーにて午後1−4時開催。参加者は8名。
今回は、加藤陽子著 ”それでも日本人は「戦争」を選んだ"(新潮文庫、平成28年出版)を読んでくる事にした。
シニアーにとって、中学、高校時代の日本史では、太平洋戦争の詳細については殆ど教わっていない。
今回合評した本は、特に満州事変、日中戦争、さらに太平洋戦争と突き進んでいった日本史でも最も重い歴史を、中学、高校生相手に東大教授がわかりやすく語った内容である。
参加者からは、なぜ日本は、無謀とも言える米国を相手に太平洋戦争をする事になっていったのかその点が知りたいとの意見が示された。
1931年満州事変で日本の関東軍は、中国の東北部を統治した。対中国が悪化するに従い陸軍は、中国を相手に戦争を始める。当時80万人の兵を中国に送り込んでいたという。
1938年には、日本全土に戒厳令がしかれ完全に軍事体制に入った。言論の自由はなくなり軍指導の政府になり、市民は、新聞とラジオから流れる政府のプロパガンダの情報にあおられ戦争を美化するする事に洗脳されていった。南京陥落後は、中国大陸の奥地へと侵入していったが、中国は、イギリス、米国の援助もあり屈することなく抵抗した。そして日本は対米国の関係が悪化していき、米国からの石油輸入が禁止される。1940年には、独、伊と3国軍事同盟を結び、日本は石油の供給源を求めて東アジアに進出し、1941年12月8日、米国を相手に第二次世界戦争を始める事になる。3年8ケ月におよぶ戦いを終え300万人もの命が奪われた。当時日本軍、政府は政界情勢の分析と詳細な把握が出来ていず、願望のみで行動していき、引くことを逸した軍官僚の甘さが指摘される。戦争は、必ず一般人を死に追いやる。政治家は、この事の重大さを認識して欲しいと切に思う。
著者は、我々にとって将来について考える場合、与えられた情報の中で、必死に過去の事例を広い範囲内で思い出し、最も適切な事例を探し出し将来に向けて考えていく事が、今後何を選択し、どのように生きていくのか大きな助けになると指摘している。
なお、本の中で多くの図やデータを表示してわかりやすく説明している点が多く、印象に残った。
次回
日時:平成30年8月30日(木)午後1−4時
場所:JR神戸駅前、クリスタルタワー、5階、ブース”5”
合評する本:黒川伊保子著「成熟脳」新潮文庫
黒川氏は、奈良女子大出身、AIのエキスパートです。暑い時期ですが、ご一緒におしゃべりを楽しみませんか。
お待ちしております。
長田 久美子(39年植物卒)、松本佳代子(44年英文卒)記
by ku-nagata
| 2018-07-03 12:04