佐保会兵庫読書会 |
第25回佐保会兵庫読書会を開催した。
日時:平成30年8月30日(木)午後1−4時
場所:JR神戸駅前、クリスタルタワー、5階、ブース”5”
合評した本、黒川伊保子著「成熟脳」脳の本番は56歳から始まる。
新潮文庫、平成30年1月出版を合評した。今回は、9名の参加者。
黒川氏は、奈良女子大出身、AIのエキスパートで、今年5月26日に、「人工知能は天使か悪魔か ~女たちが鍵を握る、人類とAIの近未来~」という演題で佐保会館で講演された。
彼女は物理学出身で、この本の中で科学的、歴史的知識を引用し人の脳について述べている。 まず人の脳にとって7年というキーファクターは無視できないという。7歳で脳は大人の脳になり、14歳で大人の感性を整え、前頭前野を発達させ忍耐力や展望力を高めて28歳で単純記憶力は最盛期を迎える。28歳から56歳は、入力した記憶を取捨選択して必要な記憶をとどめておく移行期で56歳は出力性能最大期で84歳まで続くという。56歳で本質を知り、60-70歳で言葉にならないものを言葉にしないまま受け止め、感じる、つまり芸術を鑑賞するには最高の脳になる。
もの忘れは、脳の回路から必要と思われない知識を捨てるための脳の進化である。
ところで、失敗は脳にとって最高のエクササイズである。56歳までに失敗を恐れず果敢に経験しておくことが、その後の人生の良い思い出作りには不可欠であると著者は言う。脳は失敗によって、要らない回路信号を抑制し、「本質を知る直感の回路」を太くする。つまり。勘のいい、頭のいい、センスのいい」脳を創るには失敗が不可欠である。56歳以上になると成功例、良い経験をまた思い出を人に話したくなる。そのためには、出来るだけ多くの失敗の経験が必要である。
男と女の脳の違いについて、女は、プロセス指向共感型、男は、ゴール指向問題解決型であり、男女の会話にトラブルが起こるので、この事を踏んで夫婦の会話を維持していく必要があると思われる。
AI との関連については、将棋、囲碁などAIが優位な面もあるが、なんといっても人間の持つ重要な心情や尊厳というような心の部分が欠けており、参加者からは将来“ネット人格を持つ人間“が作られ横行するのが危惧されるという意見が出された。生身の人間どうしの関わり合いが益々必要とされると思う。
なお彼女は、コンサルタント会社を経営しながら、これまでに恋愛脳、夫婦脳、家族脳などを出版し、中年になってタンゴやイタリア語などを学ばれ、さらにTVにも出演して、多彩な才能を発揮しておられる。今後益々の活躍が楽しみである。
次回
日時:平成30年11月29日(木)午後1−4時
場所:JR神戸駅前、クリスタルタワー、5階、ブース”5”
合評する本:川島博之著、”戸籍アパルトヘイト国家、中国の崩壊” (講談社+α新書) ベストセラー。 平成29年10月の出版 。
この本は、現在、習近平の率いる中国の政治情勢について述べている。
その他に次回は、母校奈良女も関わってくる可能生のある「LGBT」について、関連の本や雑誌などを紹介しあって、この問題について話し合う。
会費は無料です。おしゃべりを楽しみませんか。
39 年植物卒 長田久美子 44年英文卒 松本佳代子